Blue Leaf
REPORT · News - ニュース · Tokyo · 2026.03.27

AIと屋台、新時代のオーケストレーション

福岡の屋台で、ふと浮かんだこの言葉「オーケストレーション」。

長浜屋台街にある「たまちゃん」という小さなラーメン屋台。そこで開かれたミートアップでの出来事です。主催したのは先日に取材したみずほの中馬和彦さん。みずほフィナンシャルグループ・みずほ銀行で執行役員 CBDO を務め、Blue Lab 代表取締役として新しい産業創出の取り組みをスタートさせています。

で、中馬さんがなんで屋台?と思ったのですが、ちょうど福岡で経営者向けのカンファレンスがあり、そのサイドイベントとして屋台を貸し切ったのだとか。私もそこそこ福岡でのスタートアップ取材長いですが、屋台って借りれるんだ。

一日店主になった中馬さん。似合ってました

「面白いイベントがあるから来ない?」と誘いを受けて、福岡に足を運びました。

ただ、博多の屋台って行ったことある人であればわかると思いますが、入れてもせいぜい10人ぐらいです。カンファレンスのサイドイベントだと100人とか集まることもザラなので、どうやって入れるんだろう、そっちの方が心配でした。

実際、企画に応募してきたのは約70人。当然まとめては入れません。どうやってみんなにラーメンを振る舞うんだろうと見ていたら、なんと、このための待合の場所を設け、受付をして10人ずつ屋台に誘導するオペレーションを組んでいたのです。

ミートアップは結構雑にやるものです。「こんなに丁寧にやるんだ」と感心しながら眺めていたとき、冒頭の言葉が頭に浮かんだのでした。

オーケストレーション。

指揮者のいる開発

この PR Chart は筆者が Claude Code に手伝ってもらって開発。サイトリニューアルも含めて1週間で終わりました。爆速。

最近、Claude Code のおかげで開発のスタイルが一変しました。

実際に使ってみるとあることに気がつきます。これは単なる AI ツールではなく、共働してくれるチームパートナーだということです。自分がツールを使って便利に何かを作るというよりは、彼らとディスカッションして特定のタスクをこなしてもらう。

ものすごいスピードでサイトデザインを仕上げたかと思ったら、次はリポジトリを上書きして飛ばしてしまう。

いますよね、そういう人。確かに過去の開発仕事でそういう人いました。違うのは、彼らが人間ではない、ということです。

例えば、今このサイトで「PR Chart」というサービスを開発しています。スタートアップのプレスリリースや私たちの取材記事を通じて会社のアクティビティを可視化するために作りました。

設計を考え、デザインをし、データをどう移行するか、本番のデプロイはどうすべきか。そうしたプランを彼ら、AIエージェントと対話しながら一緒に決めていきます。

たまちゃんは現地の方にも人気のラーメン屋台。おいしかったです。

自分が一方的に決めるのではなく、提案を受けながら共に考えていくプロセスです。

さらに、こうしたエージェントを複数立ち上げて同時に並行作業させることもできます。大量のデータをチャートに投入している間に、別のエージェントにデザインを進めてもらう。何気なくやっていましたが、なるほど、これがオーケストレーションか。

ガチの AI オーケストレーションは Shippio さんがやっているようなものを指すのでしょうが、それでも実際に動かしてみると「ああなるほど」となる。やはりこれは使ってみないとわからない。

今回の屋台・ミートアップでは、ものすごく久しぶりにアーキタイプ・ベンチャーズの中嶋淳さんにばったり出会いました。なつかしさを覚えつつ、実は頭の中でそんなことを考えてました。

産業を横でつなぐ

屋台ミートアップを待つ経営者のみなさん。このオペレーションはさすが。

ミートアップの席では、中馬さんとの前回の取材の続きで、産業のインフラを作るという話題にも触れる機会がありました。これまでの産業構造は縦割りで、システムがバラバラに分断されているために横の連携ができない。そうした構造を横でつないでいく仕組みと、それを担えるスタートアップを結びつけていかなくてはなりません。

そこには当然、大量の情報とコミュニケーションが発生します。

特定の産業領域で一社がオーナーシップを握るのではなく、A社とB社とC社が一緒になって産業を作りに行く。これもまた、オーケストレーションです。以前であれば、そこをつくるのは人と企業でしたが、そこに AI エージェントが間違いなく隙間を埋めるような存在としてやってくる。

とんでもないスピード感で開発が進み、モノやコトがつながっていく。こうした産業横断の連携の中で、AIエージェントがどう動き、どう効率的にこの構造を変えていくのか。ここが非常に大きな見どころだと感じています。

あの夜、屋台で

自律的に人が動いて小さな屋台でのミートアップを成功させる。そうしたオペレーションは、人間ならではのものだと思っていました。しかし今後は、AIエージェントがこうした動きを司り、人と人、企業と企業、産業と産業をつなげていく仕掛けへと発展していくのだと思います。

特に非エンジニアの方には強くおすすめしたいです。実際に自分でエージェントをいじってみることを。彼らを使ってみるとわかるはずです。今、何が起こっているのか。

もしこの「AIエージェント」というパラダイムがなければ、今回の屋台でのミートアップも、懐かしい面々と再会して「やあやあ」と挨拶を交わすだけの話で終わっていたかもしれません。しかし、このパラダイムに乗ることで、全く別の視点を持てるのだと実感した夜でした。